「騙しましたね、わたしを」
「騙したつもりはない」
「フォークから守るって言った」
「あいつら以外のフォークから、な」
「このっ……嘘つき!」
持っていた制服を投げつけてから、自分が丸腰になってしまったことに気付いた。
制服が直撃してもなお、相手は歩みを緩めない。
なにを言われても、痛くも痒くもないんだろう。
とっくに人の心を捨てている。
わたしがどれだけ罵ったところでこの人にはなにも届かない。
「っ、あ」
あとずさっていたわたしは、ベッドに足をとられて後ろ向きに倒れてしまった。
ぎしり、と。
沈むベッドにもう一人分の重みが追加される。
両手を頭の上で束ねられてシーツに縫い付けられてしまうと。
どくどくと血液がものすごい速さで体内を駆け巡った。



