「ひゃぅっ……」
どさり、と。
投げ入れるように部屋に放りこまれたわたし。
愔俐先輩が優しくないことは知ってたけど、まさか女の子に対してここまで手荒な態度を取るとは思ってなかった。
この人のファンの子たちに教えてあげたい。この男、最低ですよ。
「大丈夫か?」
恨み節を頭の中で並べていると、妙にはっきりとした声がかけられて。
くらくらしながらもなんとかうなずき、差し出された手を取ろうとしたときだった。
「……!」
「え、?」
ぱしりと振りはらわれてしまう。
困惑して顔をあげると、
同じ2年の芽野 嵐くんが、目を見開いて口をおさえていた。
え、と……?
どうしたんだろう、気分が悪いのかな……?
「きみは……」
「め、芽野くん?」
芽野くんがわたしから、愔俐先輩へと視線を移す。
その瞳はどこか、彼を責めているようにも見えた。
「なんで彼女をこんなところに連れてきたんですか」
こんなところ、って。
仮にも自分の所属してる生徒会なのに。
目の前がなんだかチカチカする。
愔俐先輩がわたしのこと乱暴に扱うから……ううん。いろいろあって、きっと疲れちゃったんだ。
「彼女は“ケーキ”ですよね」
「な、んで芽野くんが、そのこと……知って、」



