「ご、ごめんなさい!」
めずらしく反射神経が仕事した。
ぶつかる前に、さっと一歩後ろに下がって。
相手が誰だったのかを確認すると。
それは、
「あ……敬郷先輩」
「桃ちゃん?」
向こうもこんなところで会うとは思わなかったのか。
不意を突かれたように、はっと少し息を呑んだのがわかった。
うわうわうわ。
こんなになってること敬郷先輩に見られたくなかったよお。
「随分と濡れてるようだけど」
ほらやっぱり気づかれた!
そりゃあ気づくよね、こんなんなってたら。
挨拶もそこそこに立ち去ろうとしたとき。
敬郷先輩が、言った。
「もしかして雨に降られちゃった?」



