まあ、食ってしまいたいくらいには。



じわじわと昂ぶっていた気持ちが落ち着いていく。

少しずつ、冷静さを取り戻していく。



「むしろ寄ってくる女がいなくなって清々したわ」

「えーそれはメイちゃん先輩だけでしょ。私、結構女の子と話すの好きだったんだけどな。ね、嵐」

「いや、自分は……」



すっかりいつもの調子に戻った彼らは、仕事もそこそこに雑談をしはじめた。


本当に仲がいいなと思う反面、あれ、とも思った。



最初からこんなに和気あいあいとしてたっけ。


わたしが入った頃も会話はあったけど、それはもっと表面的なものだった気がする。


きっとそれは思い過ごしなんかじゃないんだろうなと思った。



そっと生徒会室を出ようとしたら、それまでこちらを見ようともしなかった愔俐先輩が顔をあげた。



「どこへ行く」


あいかわらず目ざといな。



「……頭、冷やしてきます」


じっと見てくる愔俐先輩をわたしも見つめ返す。

たっぷり3秒は見つめ合ったあと。


その滑稽さに、思わずちょっと笑ってしまった。



「心配しなくても、すぐに戻ってきますから」


重厚な造りのドアを押して、生徒会室をあとにする。


ほんとうに戻ってこれなくなるなんて。

このときのわたしは、思ってもいなかった。