まあ、食ってしまいたいくらいには。



「ご、ごめんなさい!なんでもな──」

「たしかに、こうなれたら凄くいいよね」


思わぬ共感に、今度はわたしが驚く番だった。

でも、と敬郷先輩は続ける。



「人ってやっぱり一回壊れちゃったら、なかなか元には戻らないんだよ」


これみたいに簡単には直せないのだ、と。

元通りになった手元の的を見下ろしている。



「苦しんで、絶望して、泣いて。そうやって少しずつ治していくしかない。諦めるのは簡単だって言う人もいる。だけど俺は、諦めることにも覚悟がいると思う」


「……先輩も、なにかを諦めたことがあるんですか?」


そこでようやくわたしの存在を思い出したかのように、敬郷先輩がぱっと顔上げた。

眉を下げて困ったように笑うその姿から、一瞬にして目が離せなくなる。




「……ほんと、シビアな世界だよ」




ああ、

もしかしたら敬郷先輩も、同じなのかもしれない。



わたしと、同じ、ケー────……