まあ、食ってしまいたいくらいには。



「あ、よかったらこれどうぞ」

「いいの?」

「はい、さっきそこの自販機で当たったんです。見学させていただいたお礼に。紅茶は飲めますか?」


飲めるとのことなので、少しお行儀が悪いけどフェンスの上から投げて渡した。



「これ飲んだことないやつだ。ありがとう、さっそくいただくよ」


ほの空ちゃんは甘すぎると不評だったそれを敬郷先輩はおいしいと言って飲んでくれた。


よかった。

もしかしたらわたしと味の好みが似てるのかもしれない。



ふと、先輩の足元にあるボロボロの的に目がいった。



「それって、もう使えないんですか?」


木枠に矢が刺さっていることを差し引いても、表面にはたくさんの穴があいている。

これだけ使い古したらもう修復なんて不可能なのでは?



だけど先輩は、




「これ?全然、まだまだ使えるよ。的紙をはりかえて、この矢も……ほら、抜いてしまえば元通り」


ぐっと力を入れて引けば、あれだけ深々と刺さっていた矢が簡単に外れた。


すごい。




「人もこうなれたらいいのに……」



思わず口から零れてしまった本音。

敬郷先輩が目を丸くしたのを見て、はっとする。