「はぁぁぁ……んだそれ、」
「いてっなんですかいきなり!」
奈良町先輩が脱力したせいで、ごつんとおでこ同士がぶつかった。
一体、わたしの瞳になにを見たのだろうか。
(というか、さすがに距離が近すぎる……!)
そのまま微動だにしなくなった頭を、おそるおそる肩へとずらす。
“自分がされて嬉しかったことは相手にも返しましょう”
小学校の先生の言葉を思い出しながら、そっと頭を撫でた。
よしよし、って。
大丈夫だよ、って。
声には出さなかったけど、心の中で何度も唱えた。
今度こそ自分の考えてることが伝わるように。
「……桃」



