まあ、食ってしまいたいくらいには。




それからは何事もなく、夏休みは過ぎていった。

しいていえば奈良町先輩を見かけなくなった気がするけど、おそらくバイトを詰め込んでるんだろう。


わたしは変わらず食堂でひとりご飯を作って食べ、時間になると大浴場でひとりくつろいだ。



あと、部屋に鍵をかけるのをやめた。




『悪いな、壊れた』

『壊れた、チガウ、壊した!あーもうまた業者さん呼ばなきゃいけない!愔俐先輩がお金出してくださいよ!?』

『……』

『なんですか。わたしびた一文も払いませんからね』

『お前、図太くなってきたな』


『はぁぁぁあ?わたしを!図太くさせたのは!誰だと思ってるんですか!このアンポンタン!!』


お察しの通り、修理費がバカにならないから。

いつかまとめて請求してやろうと思ってる。



そうしてこうして、
二学期がはじまる前々日────……



「あ、奈良町先輩」

食堂から出たところで、何日ぶりかの奈良町先輩とばったり出くわした。


「おひさしぶりですね。元気にしてました?」


ちなみにわたしは宿題をようやく終わらせられたから超元気だった。