まあ、食ってしまいたいくらいには。



これも一種の生存本能だったのかもしれない。

それでも、こんなのあんまりだ。


最大まで膨れ上がった痛み。

限界を迎えたそれが、

一体、”なに”にすり替わるか──なんて。



いつの間にか手首の拘束が緩んでいた。



「あ、もういいですか…? すみませんでしたわたしのせいで……じゃ、そろそろ自分の部屋にもどりますね、先輩もきょうはゆっくり休んでください……それじゃ、おやすみなさい」


後ろからなにか言葉をかけられたけど、振り返って笑顔を浮かべる余裕はなかった。

それに先輩だってまだしんどいに違いない。


ふらふらと娯楽室をあとにしながら、この収まらない熱をどうするべきか考えた。

だけど頭は正常に機能しない。

ばかになってる。



「……あっ、」


ぐらりと傾いた身体。

やばい倒れそう────


そのときわたしの腕を誰かが支えてくれた。


前からだったので、奈良町先輩じゃないことだけはわかる。

だとしたら相手はもう、ひとりしかいなかった。



「…ほんと、人がよわってるときばっか狙ってきますよね。ヒーローと同じ。ぜんぜんヒーローなんかじゃないけど。さいてーさいあくの嘘つき男だけど」

「それで?」



「────たすけてください」