まあ、食ってしまいたいくらいには。




「っ、は……はぁ、っ…」


目が覚めたとき、ここがどこだか一瞬にしてわからなくなった。それと同時に、方向感覚も失った。


真っ暗で、しずまりかえった空間。

あのときと同じ。


圧迫感が形となってじわじわと押し寄せてくる。



だめだ、いかなきゃ。

どこか明るいところに、人がいるところに。


そうじゃなきゃ、わたしは今度こそ────






そこからどうやってここまで来たのかは覚えてない。

気づいたら、わたしは誰かの腕の中にいた。


それを理解し、ぶわりと肌が粟立つのはどうしようもない生存本能で。


相手もそうするべきだと思ってか、身を離そうとした。


それなのにわたしがそれを拒んだのだから、向こうもさぞびっくりしただろう。

むしろ離されないように縋りつく。


少なくともあの人じゃなかったら、誰でもよかった。

……意識はまだ、あっちに取り残されたままだというのに。



「ごめんなさい、ごめんなさい!」


からだの芯から震える。

意識が混濁してものごとを考えられない。



「っ、殺さないで……まだ、しにたくない!」


もはや相手のことなんて考えられない。

気にもならない。




わたしはずっと、夢から覚められない。