最初に思い出すのは、暗くてつめたい部屋。
だれもいない、音もしない、遮断された世界。
目が慣れた頃、部屋に入ってきたひとりの人影。
どんな顔だったかは覚えていない。
声も、背格好も、すべてがおぼろげ。
覚えているのは、その人がフォークだったこと。
ただそれだけ。
わけもわからないまま、床に押し倒された。
痛い。
暴れないように押しつけられた手足も。
思いっきり歯を立てられた肩も、腕も、お腹も。
なにもかもが痛くて、生理的な涙がとまらなかった。
だけど、そのうちおとずれた変化。
そのことに先に気づいたのは向こうだった。
ぱっと口を離して、まじまじ見つめて。
それから、それから。
まるで繰り返し遊べる玩具をみつけた獣のように。
本能をむき出しにして、男は。
彼は────……



