奈良町先輩曰く。
フォーク専用といってもそればかり贔屓にするほどの栄養は得られない。
著しく栄養が摂れていないと感じたときは仕方なく口にするけど、結局はなんの味もしないただのブロック。
それどころか周りにバレる可能性もあるので、ほとんどのフォークは所持するどころか所有すらしていないのだと。
「じゃあ、ブロックを持ち歩いてる人は……」
「相当な馬鹿だろうな。お前みてーに」
「なんだろう、一言余計なんですよね」
「それか、何か企んでるか」
どきりと心臓が跳ね、ポップコーンをつまんでいた手が止まる。
あの日、すべての元凶の日。
わたしとぶつかった愔俐先輩は栄養補給ブロックを落とした。
だからわたしは愔俐先輩がフォークであることを知ることができた。
先輩は自分のミスでフォークであることをバラされないように、わたしに契約を持ちかけた。
だけど、もし、それが作られたミスだとしたら?
それなら以前、そのことを話したとき三栗くんが見せた表情にも納得がいく。
あのひと、愔俐先輩は。
ブロックなんて──普段は持ち歩いてないんだ。
よく考えたらわかることだった。
完全無欠な玖桜愔俐がそんなミスを犯すはずがない。
あの日の出来事は、きっと、偶然なんかじゃない。



