「意地ですよ、意地。わたしだってなにも綺麗に生きてきたわけじゃありませんから」
生き汚いっていわれたっておかしくないような半生だった。
だからこそ、楽しめるときにはこうして思いっきり楽しみたいの。
そう、たとえ相手がフォークであっても。
奈良町先輩であっても、だ。
これ以上お小言を言われる前に、わたしは奈良町先輩の横をすり抜けた。
「おい──」
帽子が落ちないように押さえながら、くるりと振り返る。
「予定変更です!今日は奈良町先輩も楽しめる一日にしましょう!」
すでにわたしの頭の中は書き換えたプランでいっぱい。
まるで子どものように、ぴゃあ~っとエントランスまで走っていく。
ひさしぶりの外はたしかに暑くて溶けそうになったけれど。世界は、ぱちぱちと弾けるサイダーのようにきらきらしてみえた。
「……まじで予想できねえ、あの女」



