まあ、食ってしまいたいくらいには。



ドーラもびっくり、たった20秒で準備することを命じた奈良町先輩は、わたしがもたもた着替えているとほんとうに取り立て屋よろしく部屋のドアを激しく叩いてきた。


ひええと怯えながらワンピースを頭から被る。

熱中症予防のペーパーハット、ほの空ちゃんが誕生日にくれたピンクのミニショルダーバッグ。


それらを手に、ささっと前髪だけを手ぐしで直してからドアをあけた。



「おたませしました!」


慌てるあまり、地味に噛んだ。

おまたせしました、と言い直しながらその顔をおそるおそる見上げる。


予想よりは怒ってないっぽいけど……。



「な、奈良町先輩?」

「それで外に出るつもりかよ」

「え、はい。どっかおかしいですかね……?」


わたしは自分の格好を見下ろす。

唯一持っている夏物の、白いキャミソールワンピ。

ミニだからちょっと丈は短いけど、そこまで見苦しいほどでもないはず。



「あ、日焼け止めは塗りました!」

「…なんでこんな馬鹿がここまで生き残れてんだ」



またそうやって失礼なことを言う。