「ねぇ、ちょっといい?」
『…はい?』
京平に絡まれた後の昼休み。
私は人気のない中庭で、女子集団に囲まれていた。
一人の女子に呼びかけられ付いていったら、既に待ち構えていたケバい女子集団に包囲されてしまったのだ。
…げ、よりにもよって京平ファンだし。
これは、俗に言う“呼び出し”というモノだろうか。
よもや私如きが制裁に遭う日が来るなんてね…。
危機感と同時に、少しだけワクワクしてしまった。
いやMではないよ?
断じて殺られたいわけではなく、リアルな少女漫画的展開に感動していた。
本当にあるんだな、みたいな。
まぁ、助けに来るヒーローはいないとして、こんな状況はめったに体験できない。
…って、私、BLAZEといるせいで、おかしくなってない?
そうじゃないことを願う。
「話聞いてるの?」
『えっ、あ、はい』
何の話?と思いながら、頷く。
…だって、間違ってもNOと言えない般若顔してるから。
ボスっぽい女の子が、私をギロリと睨みつけている。



