最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

「空衣、何も言わないで。神々、ありがとう。」

 空衣はまだ粘っていて、納得できていない様子。

 だから僕は大きな声で遮って、神々に笑顔を浮かべた。

 今僕はきっと、気持ち悪いくらいの偽笑みを浮かべているはず。

 でも、それでも良い。

「神々はもう帰っていいよ。空衣のことは僕に任せて。」

 正直言うと、神々に神菜を任せるなんて嫌だった。

 神菜を守るのは、僕の役目なのに……そう思ったから。

 だけど神菜が笑顔で過ごせるのなら、背に腹は代えられない。

 なりふり構ってなんて、いられない。

 どうせまた教室で会うだろうけど、とりあえず空衣と神々を離そう。

 空衣は今にも食ってかかりそうだし、神菜の為なら魔術を使う事もいとわなそうだ。

 そんな危険状態の空衣を野放しにするなんて、心配すぎる。

 それに今は……神菜を守るのは、神々に譲る。

 信頼も好意も絶対、僕より神々のほうが上だろうから。

 そう考えると悲しくもなったけど、今はそれでもいい。

 神菜が何も気にせず安心できるなら、神々に任せたい。