最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 私にできる事って、実際は少ない。

 文献や前例がなければ私は下手に動けないし、動く事が難しい。

 政府から言われた通りの事だけをこなす、ただの道具でもある。

 ……そろそろここから、立ち去る時期かもしれない。

 卒業までここにいられると考えてたけど、その考えは甘すぎた。

 嫌な予感が嵐のように舞い上がり、呼吸の仕方さえ忘れかける。

 もう本当に、心臓に悪すぎるよ……。

 悪態を吐くように苦笑いをし、周りを確認してから空き教室から出た。



 あの後の騒動はとりあえずは落ち着いたようで、教室に戻るといつも通りに戻っていた。

 そわそわと落ち着かないクラスメイトもいたけど、元通りにはなっていて安心する。

 鎮静化魔術が効いてたのかな……。

 そうだったら良いけど、周りにいずれ魔術や魔力の事がバレちゃいそう。

 考えなしに魔術をかけてても、危険だ。

 だけどそれこそ顔に出すわけにはいかないから、別の何かを考えようと頭を働かせる。

 その時、思い出したように突然明李君が口を開いた。