最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 最近、嫌な予感を感じ取る頻度が圧倒的に増えている。

 何かの前触れのような気がしていて、落ち着きが一瞬なくなりかけた。

 ……ううん、私が落ち着かなくてどうするの。

 潜入任務と言えど、私は魔術師。学園内の魔力不祥事は私に話が回ってくる。

 課せられた任務をするだけなのは変わらないけど、増える事だってあるんだから。

 自分自身に喝を入れ、深呼吸をしてから教室に足を踏み入れる。

 ……でも私の視界に入った光景は、驚くべきものだった。

「おい、今なんて言ったんだよ!もう一回言ってみろ!」

「聞こえてないのか?それだからいつまでたっても落ちこぼれなんだよ!」

「お前ら、やめろって!」

 これは、何が起こって……。

 教室の真ん中で男の子同士が何かを言い合っていて、疾風君が頑張って止めている。

 その勢いが凄まじく、疾風君だけじゃ抑えきれない。

 クラスメイトは完全に怯え切っていて、泣き出しそうな人もいた。

「疾風は黙ってろ!こいつと決着つけねぇといけないんだ!」