最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 新さんじゃないのは、少し寂しいな……。

 ……って、そんな事思ったら翔葉さんに失礼だっ。

「あっ……翔葉さん、おはようございますっ。」

 その時、マンションから少し離れたところに翔葉さんの姿を見つけた。

 人も少なかったし、翔葉さんは長身だからすぐに分かる。

 翔葉さんも私の姿に気付いてくれ、いつもの無表情で挨拶を返してくれた。

「柊木、おはよう。」

 無表情だけど少しだけ嬉しそうに見えるのは、気のせいかな……?

 一瞬そう思ったけど、気にしなくてもいいかという結論に至った。

 翔葉さんが嬉しそうだったら、良いかっ。

 はっきり言って、嬉しそうにしている理由は気になる。

 でも聞くほどの事じゃないと思って、聞かない事にした。

「学校行くぞ。」

「ま、待ってくださいっ……!」

 私が考え事している間に、翔葉さんは学校へと向かおうとしている。

 わっ、置いていかれるっ……!

 大きな声を上げながら、私は慌てて翔葉さんのところまで駆ける。

「は、早いです……はぁ。」