最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 油断なんか、してられない。



 午前の授業が一通り終わり、三人と一緒にAnarchy室に向かう。

 最近は人目を気にしなくなったけど、少なからず視線は感じる。

 こそこそと話している人もちらほら見えて、できるだけ気配を消す。

 やっぱりこういうのは、いつになっても慣れないなぁ……。

 ぼんやりと考えながら、周りに警戒して三人についていく。

 でも人気が少なくなった廊下で、背後に妙な気配がした。

 全身に電流が走ったようにピリッと痛み、立っていられなくなる。

 何、これ……。

 みんなに気付かれないように平静を保って足を震え立たせるけど、結構きつい。

 初めて体験するものだから、どうしていいか知らない。

「栞、着いたよ?」

「……う、うんっ。」

 明李君が声をかけてくれたから、我に返ることができた。

 今考えこんで、うっかり口に出しちゃダメだよね。

 心配をかけちゃダメだって分かっているから、ぐっと我慢して笑顔を取り繕う。

 人を欺く力は、衰えてなかったりするのかな……あはは。