最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 “あの時”と同じように暴走しかけて、慌てて自分を抑える。

 はぁ……と深呼吸を何度もして、魔力の高ぶりを収めた。

 ここで魔力使ったら、魔術師だということがバレる。

 もうバレるわけにはいかないから、ここでボロを出すわけにはいかない。

 それに……騒ぎになってAnarchyの皆さんにバレても、ダメ。

 もしかしたらもっと護衛が強化されちゃいそうだし、そんな事に皆さんの時間を費やしてほしくない。

「失礼しますっ……!」

 言いすぎちゃったかも……と反省しながら、その場から急いで離れる。

 とりあえず、教室に行かないとっ……!

 そろそろみんなと会わないと、不審に思われちゃう。

 まだ魔力の高ぶりは収まらないけど、私は強引に無視して魔力を抑え込んだ。



「栞、今日遅かったけど……もしかして何かあった?」

 教室に着くなり明李君にそう言われ、うっと言葉に詰まる。

 で、でも平常心を保たなきゃっ……!

「ううんっ、何もないよ。ただ忘れ物しちゃって、それで遅くなっちゃったんだ。」