最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 やっぱり僕には、明李君みたいな能力はないや。

 感情を感じ取る事には長けてるって思ってたけど、そうでもなかったみたい。

 なら直接、疾風に聞くしかないよね。

 僕はまだ疑問の残る頭のまま、疾風の部屋に向かった。



「疾風~、入るよ~?」

 そう言いながら返事も聞かず、慣れた手つきで入っていく。

 疾風とは部屋の距離も近いし、しばしば遊びに来るくらいだから他人みたいな事はしない。

 リビングに向かって扉を開けると、もう明李君は来ていた。

 疾風はソファに座って、何かを悩んでいるようにまた眉間に皺が寄っている。

 わぁ……これ、結構重たい話のパターンかな?

 今までこういう事がなかったから何とも言えないけど、そうだとしか考えられない。

「疾風、和向来たよ?」

「……っ、あぁ。」

 明李君の言葉でやっと我に返った疾風は、まだ掴めない感じがしている。

 隣で明李君も悩むような素振りを見せている事から、疾風はすっごく悩んでいる事が分かった。

 明李君はさとり族で心が読めるから、疾風の心の声が分かっていてもおかしくない。