新さんはいつも無表情だから、相当な事があったんだと思う。

 突っ込む気力は流石になかったけど、そう察する事だけはできた。

 ……でも新さんとしーちゃんの為なら、全力でやらないと。

 しーちゃんの事を狙うライバルでもあるけど、新さんのことは大好き。

 だから手を抜くことだけは、許されない。

 その日から、しーちゃんの護衛が始まった。



「うん、三人ともバイバイっ。」

 新さんと合流したしーちゃんと別れて、疾風と明李君と寮に向かって歩く。

 その最中、おもむろに明李君が大きなため息を吐き出した。

「はぁ……やっぱり新さんと同じ空間って、緊張する……。」

 明李君は新さんをライバルだと完全に認識しているけど、同じくらい尊敬している。

 参ったようにぼやいている明李君に、あははと苦笑いが零れた。

 まぁでも、明李君の言っている事は一理ある。

 僕だって新さんと同じ空間の中にいるのは緊張するし、普段は新さんと関わらないから尚更。

 しーちゃんがいるからまだ緊張が緩和されてるだけだから、しーちゃんがいなかったらいたたまれなくなっていたと思う。