最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 そう思って割り切ろうとしたけど、突然明李君が疾風君に引っ張られた。

「おい、強引な事するな。栞が困ってるだろ。」

「……うー、分かってるよ。栞、ごめんね。」

 明李君を私から離してくれたのか、明李君の首元を掴んでいる疾風君。

 そ、そこまでしなくてもっ……。

 明李君が少し可哀想になったけど、助かった事に変わりはない。

 疾風君、ありがとうっ……。

 だけど私は、明李君の言葉に乾いた笑みを浮かべるしかできなかった。

「う、ううんっ。大丈夫、だよ。」

 少し震え声になってしまったけど、何とか返事をする事ができた。

「しーちゃん、無理しないでね。」

 でも顔には出ていたみたいで、こそっと和向君に声をかけられた。

 無理してるように、見えてるのかな……。

 自分じゃ分からないから何とも言えないのが、また歯痒いと思ってしまう。

 だけどその時に、ある重大な事に気付いてしまった。

 あっ……そういえば、魔術師のお仕事どうしよう……。

 疾風君たちに言うわけにはいかないし、ここで大人しくしておかないと怪しまれる。