でも、私は新さんを裏切るような事をしたのに……。

 暗い気持ちのまま、涙を我慢するように下唇を噛む。

 新さんはそんな私を優しく抱き寄せ、包み込むように頭を撫でた。

「確かに、多少はあいつらに嫉妬した……が、神菜には怒っていない。俺が苛立ってるのは、神菜に言い寄っていたあいつらにだけだ。だから、泣かないでくれ。」

 苦しそうで懇願するような声が聞こえ、胸が締め付けられる。

 本当に、怒ってない……?

 新さんのこんな苦しそうな声、初めて聞くかもしれない。

 私は、新さんのこんな声を聞きたいんじゃない。

 新さんには、笑っていてほしい……っ。

「そう、だったんですね……。でも、私もこれからは気を付けます。」

 新さんはもしかすると、気を遣ってそう言ってくれたのかもしれない。

 それに私がしてしまった事は、新さんにとって嫌な事に変わりはないと思う。

 だから、これからはしっかりと気を付ける。

 他の男の人とあんまり親しくしない。友達だからって言ったって、新さん以上に好きな人なんていないから。