最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

「失礼、します。」

 息が上手くできなくなりそうで、声がいつにもなく震える。

 だけど、入らないという選択肢を取るわけにもいかず、意を決して理事長室に足を踏み入れた。

 ……っ!?

 その途端、私は本気で息をする事を忘れた。

 だって私の視界に入ったのは……あの日、私を引き取った政府のお偉いさんだったから。

『家族を守りたいのなら、私たち政府の人間になってくれ。』

「久しぶりじゃないか、元宮神菜。」

 声をかけられ、緊張で体が硬直してしまう。

 そのお偉いさんの声には怒りと絶望と、落胆の気持ちが入り混じっているみたい。

 ――逃げ出したい。

 一瞬にしてそう思うけど、体が言う事を全く聞いてくれない。

 逃げ出すなんて選択を取ったら、私の安全なんて保障されないけど。

 自己完結をさせて、私は震える唇で声を発した。

「どうして……ここにいるんですか?」

 理由なんて分かり切っていたけど、わざとらしく尋ねる。

 お偉いさんの口から……聞かないと、確信が持てない。