最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 草薙に背を向けて、テレポートでここから去ろうとする。

 その時、背後からこんな声が飛んできた。

「神々、神菜を取らないでよ。神菜は僕のなのに。」

 いつもの愛想がいい草薙からは分からないくらいのドスの利いた声が聞こえ、神力を消費する事を一旦やめる。

 こいつは……どの面を下げて、自分のだって言ってんだ。

 神菜は誰のものでも、ないだろうが。

 ……まだ、な。

 それに神菜を泣かせた奴に、そうやって言う資格なんかない。

 慈悲なんてかけるんじゃなかった……そう思いながら、テレポートをする。

 神菜はさっきの草薙の言葉に、これでもかと言うほど肩を震わせている。

 相当、草薙にされた事がトラウマになったんだろう。

 あいつに何をされたのかは知らないが、泣いているところを見る限り最低な事だろうと察する。

 好きな奴なんだったら、泣かせるんじゃねーよ。

 悪態をついて、俺は草薙に視線を戻す事なくその場から去った。



 こうやって俺の部屋に連れてくるのは、何度目だろうな。