……よし、いつも通り。

 学校に行く準備をして、スクールバックを片手に持つ。

 私は今日から“柊木栞”ではなく、学校内では隠さずに“元宮神菜”として生きたいと思う。

 ま、まぁ、登校の時は変装しなきゃいけないけど……。

 生徒さんたちにバレたからっていっても、世間にまでバレてしまったら今度こそダメだ。

 もしかしたら、生徒さんの誰かが洩らしてる可能性もある。

 その時は……はぐらかさずに、ちゃんとしていよう。

 政府との契約はまだ切れていないから、安易に元の姿を見せる事ができないのが難点。

 だって変装って、かゆくなったり蒸れちゃったりするから……できる事なら変装をやめたい。

 でもそんな事をして、変に周りに迷惑をかけるわけにもいかない。

 ぼんやりとそう考えて、恐る恐る周りを注意しながらエントランスに降りる。

 ……へっ!?

 エントランスまで降りて、マンションから出る。

 その時、私は素っ頓狂な声を出しそうになった。

 慌てて口を噤んで、目の前の光景を凝視する。