最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 そんな奴らには絶対、神菜を渡さない。

 ……まだ神菜の何でもない俺が、どうこう言える権利はないが。

 神菜に視線を落として、今の状況を飲み込もうと抱きしめる。

「すぐに来れなくて悪かった……っ。」

 悔やんでも悔やんでも、悔やみきれる事はない。

 どうして俺は……っ。

 自然と抱きしめる力が強くなり、壊してしまいそうになった。

 そんな俺を止めたのは、神菜の申し訳なさそうな声。

「私の、せいなんです……。私が自分の判断で勝手に動いて、勝手に暴走して……。」

 いつにも増して苦しそうな声色に、また後悔の念が押し寄せる。

 あぁ、俺は好きな女一人の笑顔さえも守れないのか……っ。

 だが絶対に、神菜のせいじゃないのは分かる。

 概要はよく聞かないと分からないが、神菜は生徒たちの為に正体を晒したんだろう。

 だからそう、思い詰めるな。

「神菜のせいじゃない。お前は生徒たちを守る為に……動いたんだろ?」

「……っ、違います。私が勝手な事を、したんです。」

 あからさまに肩を震わせ、取り繕ったような乾いた声でそう言う神菜。