「行かないで、くださいっ……。」

 気付けば私は、そう訴えていた。

 新さんに押し倒された体制を直すように起き上がって、ぎゅっと抱き着く。

『あいつに触られたとこ、全部言え。』

 そう言われて押し倒された時に、創さんの姿がフラッシュバックした。

 強引に腕を掴まれ、恐ろしい事ばかり言ってくる創さんが。

 だけどいざ離れると思うと、物凄く嫌だった。

 新さんに触られるのは怖くないから、拒否するのはおかしい。

 大きな声でそう言うと、新さんは驚いたように顔を歪めた。

「さっきの怖かっただろ?なら、俺がいないほうが良いはずなんじゃないのか。」

 新さんは気を遣って言ってくれるんだろうけど、私は嫌。

 もっと、触れていたいからっ……。

「嫌です……っ。一緒に、いてください……。」

 声は震えてしまっていて、新さんに聞こえたかどうかが分からない。

 正直言うと、さっきの新さんも怖かった。

 でもやっぱり、私は新さんがそれ以上に大好きだからっ……。

「分かった。俺はここにいるから、大丈夫だ。」