最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 さっきみたいな大きなものじゃなく小さなものだけど、さっきよりも断然魔力の質が良い。

 まさかあれ、先輩の魔力……?

 今まで感じた事のない感覚が走り、はっと息を呑む。

 元宮神菜の魔力は、世界最高級の代物だと聞いた事がある。

 そう考えたところで、おもむろに先輩の周りの霧が晴れた。

 ……え……先輩、なの……?

 だけど桐の中から現れた先輩は、いつもの先輩じゃなかった。

 容姿はさっきと変わらないけど、明らかに違うところが一つだけある。

 ……瞳の中が、真っ黒に染まっている。

 まるで正気を失ったかのように、先輩の瞳には光が入っていない。

 周りにさっきの霧が集まり、先輩は不意に何かを呟いた。

「……っ、みんなしゃがんで!」

 とっさに成生さんが声を上げ、周りにいた生徒全員がその場にしゃがみ込む。

 僕も不思議がりながら急いでしゃがみ、次の瞬間には背後に大きな傷ができていた。

 何かをひっかいたような跡がついていて、理解するのに数秒はかかる。

 これ、先輩がやったの……?