最強さんは魔術少女を溺愛したい。⑤ ~最強さんの最大級溺愛は留まらない~

 神菜から頼んでくるなんて……夢なのか?

『今、抱きしめてくださいっ……!』

 この前にもこんな頼みごとをされたことがあるが、あれは風邪があったからだと分かっている。

 風邪をひくと心細くなるから、きっと寂しくなったんだろうと知っていた。

 だから今……そう言われたのが、夢かと思うほど嬉しい。

「頭撫でるだけで良いのか?どうせなら……こっちのほうが良いだろ?」

「わっ……えへへっ、新さんにぎゅってされるの、私大好きですっ。」

 俺に抱きしめられるの、か……。

 本当は俺自身のことを好きになってほしいが、今はこれで我慢か。

 俺は神菜を自分の膝の上に乗せてから、頭をふんわりと撫でてやる。

「私のお願い、聞いてくださってありがとうございますっ。大分落ち着いてきました……。」

「なら良かった。」

 さっきは本能に身を任せて怖い思いをさせただろうから、相殺できるようにしなければならない。

 えへへと可愛らしく微笑む神菜を見て、俺はまたため息を吐いた。

 どうしたものか……可愛いという言葉しか出てこない。