辺りがざわざわと騒然としている中、私はどうしようかと悩んでいた。

 あの殺戮魔術は、きっと意図的に召喚されたもの。

 そしてあれを収める方法は、大量の魔力を与える事。ただそれだけ。

 質の良い魔力を求めながら、世界を破壊して回る最悪な魔術だ。

 かつて一度、殺戮魔術が召喚された事があった。

 その時に騒動を収めたのが、世界で最強だと謳われていた魔術師。

 その魔術師が体内の魔力を全て殺戮魔術に捧げた事で、騒動は収まった。

 ……つまり、同じ事をしなければ鎮静化は図れない。

 それしかもう、対処法が残ってないから。

 本当ならば私が魔術師として動かなければいけない。

 ……なのに、体が思うように動いてくれない。

 もしここで魔術師だという事がバレたら、どうなっちゃうの?

 もちろん、ここでの生活はもうできなくなる。

 それは嫌。だけど、動かなければ世界が壊される。

 そうやって私が悩んでいる間にも、周りはこれでもかというほど騒いでいた。

「どうすんだよあれ!殺戮魔術らしいぜ!」