協力者が誰なのか、そこもつきとめないと。うーん…怪しいのは騎士団内で、彼とよく一緒にいる人だろうど…。
そこを踏まえると数人の候補が浮かび上がってきた。
シェスと付き合いの長いキース。
騎士団長のハロルドあたりが最有力候補ではある。
ハロルドに至っては、騎士団長だし、事情を把握している可能性は十分に考えられる。私の正体も知っているしね。
他には、誰かいたかしら?
そういえば、シェスってあんまり他の団員達と話しているイメージないのよね。
剣の話、仕事の話はよくしていたが、彼のプライベートに関しては4年も付き合いがあるにも関わらず、ほとんど知らなかったことに今さらだが、気がついた。
なるほどね。それも正体がバレないように気をつけていたってわけ?
本当に食えない男ね…ロイ・シェラード。
私は頭の中でそんなことを考えながら、頬杖を付き、窓へと視線を移す。
雨はまだ降っていないが、どんよりとした曇り空はまるで私の心の中を映し出しているよう。
でも、とりあえず明日やることは決まった。
シェスに関する騎士団内での情報収集と婚約破棄に対してアンへ相談することだ。
「これから忙しくなりそうね…」
思わず漏れたそんな本音に、私は小さく肩を落としたのだった――。



