でも、今私の中で1番大切なのは、キャンベル公爵家を私自身の手で守っていくこと。
女だからという理由で、当主に慣れないなんて風潮私の代でなんとかしたいもの。
「…うーん。今度、アンに相談してみようかな」
平民の彼女なら、貴族とは違った視点で私やミリアが思いつかない何か突拍子もないアイデアを出してくれるのではないかと内心期待してしまったのだ。
よし!明日にでもフロイドとしてじゃなく、町娘のフローラとして彼女に会いに行ってみよう。
このまま、何もせずにロイ・シェラードの思惑通りに言ってたまるものですか。
ついでに、騎士団での彼の様子も探る必要もありそうだわ。
それにしてもキースは知っていたのかしら?
シェスが…公爵家の貴族だってこと。
1番シェスと仲が良いキースのことを思い出し、私は小さく首をひねった。
キースは隠し事が上手じゃないし、知ってたらあんなに平然としてられるタイプではないわ。
でも、私にとってのアンやハロルドみたいな存在がきっと騎士団内にいると私は確信していた。
だって、協力者がいないと貴族と平民の二重生活を送るのは難しいもの。
それは自分自身が体験してみてよくわかっている。



