「…というわけなの。ミリア、何か良い案はないかしら?」
父の執務室から戻った私は、1人で優雅にアフタヌーンティーを楽しんでいるミリアに向かって事の顛末(てんまつ)を全て話した。
最初は、うんうんと相づちを打ちながら聞いていたミリアも最後はかなり食い気味で聞き入っていて…。
「まぁ〜!やるわね〜、ロイ・シェラード…!」
最後まで話し終わった時には、感心したようにそんなことを言う始末。
「もう、褒めてる場合じゃないの!このままだと本当に婚約しなくてはいけなくなるわ。そしたら、私の夢も果たされないし、私がフロイドだってこともバレちゃうんだから…!」
「婚約破棄の方法ねぇ…。やっぱり手っ取り早いのは相手に嫌われることでしょうけど、今まで聞いた話を踏まえると、シェラード公爵は貴女のこと相当気に入ってるみたいだし、難しいかもねぇ…。後は他に相手を見つける…とかかしら?」
「他の相手…そんなのいたら苦労しないわよ…」
肩を落とす私の背中をポンっと軽く叩いたミリアはフッと不敵に微笑むと。
「諦めて婚約しちゃうって手もあるけどね?」
あっけらかんとした口調でそんな頭の痛い提案をしてきた。



