「婚約破棄は無理です」
「なぜですか…!?貴方くらいの地位があれば別に私じゃなくてもいいでしょう!?ハッ…!事業のことを気にされているのでしたら、私が女公爵となった暁には最大限支援させて頂きますわ!」
そこまで言い放ち、ロイを見つめるとなぜか楽しそうな表情で私を見つめている。
それは、まるで…子どもが新しい玩具でも見つけたような…。
「私自身、そろそろ相手を見つけなければいけなかった身でしてね?それに…どこぞのつまらない令嬢よりも貴女と結婚したほうが楽しそうだ」
その瞬間、ブワッと鳥肌が立つのを感じ私は思わず後ろに後ずさった。
楽しそうですって…?
そんなくだらない理由で…私の人生狂わされるなんて…そんなのって…。
私は、ギュッと小さく唇を噛み締める。
そして。
「…私は嫌です。絶対に婚約破棄してみせますから…!!」
そうロイに向かって宣言をすると、驚く彼を廊下に残し、1人でシェラード家の玄関に向かって歩き出していたのだった――。