とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜


ニコッと爽やかな笑みを浮かべ、そう言ってのけるロイ。

サポート役と言えば、聞こえはいいが要するにシェラード公爵家の裏部分をロイが担っているということだろう。

多かれ少なかれ、地位のある家柄にはきらびやかな表の顔と、あまり見せたくない裏の顔があるのは自然のこと。

それは事業だったり、政治的なやり取りだったり。家柄によっても変わってくるのだが…。

かくいうキャンベル公爵家だってそれは例外ではなかった。

昔からお父様が我が家の事業を仕切るうえで、取引先で頭を悩ませている姿を見ていたしね。

シェラード公爵家は、表向きはハリス様が仕切り、裏ではロイが暗躍しているというわけか。

確かに顔がバレていない方が都合が良いことが多そうではある。

ハリス様に至っては社交界にあまり興味のない私でさえ、知っていたくらいだもの。

「…そういうことでしたの。大変なお役目ですわね」

「まぁ、シェラード公爵家をより強力な家門にしていくのが私と兄の目標なので、お互い今の状態が適材適所というわけです」