とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜


何事も最初が肝心よ、フローラ。
女だからと舐められないようにしなくては。

そう思って、威勢よく彼の顔を見たはず…だった。

…え、うそ。

しかし、薄暗い廊下の先に佇むロイ・シェラードの素顔を見た私は目を見張る。

だって、そこに立っていたのは…。

シェ…ス?

そう、私がフロイドとして所属している街の騎士団で現在、副団長を務めているシェスだったから。

思わず「シェス」と名前を呼んでしまいそうになるのをどうにか堪え、私は再度ロイ・シェラード公爵を見つめた。

他人の空似…?
ううん、こんなに瓜二つな人物この世にいるわけないわ。

いったい、どういうことなの…?

表情に出さないようにしつつも、頭の中は大混乱の私をよそに、ロイはフッと不敵な笑みを浮かべる。

「引き篭もりね…。まぁ、こちらとしてはそのほうが都合が良いので、甘んじて受け入れてましたけど…貴女に言われるのはわりとムカつきますね?」

…っ!?

爽やかに微笑んではいるものの、目の奥は笑っていないロイに私はたじろいだ。