「な、ロイ様…どうしてここに?」
ギョッとしたようにルークは声のした方向に身体を向ける。
私の立ち位置では、ルークの大きな背中でしっかりと姿を確認することはできないが…。
ロイ様…って、本物の引き篭もり公爵…?
どうやらこの薄暗い廊下の先に私を長時間部屋でまたせ続けている引き篭もり公爵…いや、ロイ・シェラード本人がいるようだ。
声は…良い声してるわね…。
耳に残る綺麗な声と品の良い話し方に好感がもてる。
それにしても…私の客人って…。
彼から発せられたその言葉に違和感を覚えつつ、私はルークの背中越しにソッと姿を見ようと背伸びをしてみた。
明かりのない廊下で、距離がまだ離れていることもあり顔は視認できなかったが、佇まいやシルエット的にはかなりスタイルが良いことが伝わってくる。
背丈も結構ありそうだし…。
想像していたぽっちゃり坊ちゃまとは、かけ離れたビジュアルに私は目を見開いた。
まぁ、ハリス様もかなりスタイル良かったし…案外似ている兄弟なのかしら…?



