とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜


いくら"引き篭もり"が事実とはいえ、自分の仕える主人の陰口はいただけない。

下っ端とは言え、仮にも公爵家の侍女。
もう少し道徳心を持ってほしいものだ。

コツコツと廊下を歩く侍女達の足音が遠ざかっていくのを確認し、私は小さく息をつく。

さてと、適当に飛び込んじゃったけど…この部屋は何があるのかしら?

ソッと後ろを振り返ってみると、大きなクローゼットが目に飛び込んできた。

衣装部屋…?

そのまま、クローゼットの中を確認してみると、綺麗に畳まれたメイド服や執事服が入っている。

どうやら使用人の制服が保管されている部屋のようだ。

ふーん。シェラード公爵家のメイド服ね…。

そうだ、いいこと思いついたわ!

その瞬間、頭の中で浮かんだ計画にクスッと笑みを浮かべる。

せっかくだしロイ・シェラードについて内部から情報収集してやろうじゃないの。

私はそんなことを考えながら、クローゼットに保管されているメイド服に手を伸ばしたのだった。