普通なら明るい右の廊下を進むのだろうが…。
うん。左に決めたわ!
なんか、そっちの方が楽しそうだもの。
クスッと内心笑みを浮かべ、私は薄暗い左側の廊下へと足を進める。
私だって騎士団でそれなりに鍛えてるし、なにかあっても対処できる自信はあった。
それにしても…何でこっちの廊下は昼間なのにカーテンを閉めてるのかしら?
廊下を進んでいくにつれ、そんな疑問が浮かぶ。
しかも廊下を進むに連れ、心なしかどんどん暗くなっているような…?
さすがに私もゴクリと息を呑んだ。
いくつか部屋があるけど、とりあえずどこか開けてみようか?
そう思って、近くの扉にゆっくり手をかけたその時。
「…ロイ様はまだお部屋に?」
「そうらしいわよ。でも、キャンベル公爵令嬢はお部屋でお待ちなんでしょう?」
とそんな声が廊下の奥から聞こえてきて、私は慌てて扉を開け、部屋の中に入り身を隠す。
シェラード家の侍女、かしら?
コツコツと、廊下を歩く音が私がいる部屋の前に近づいて来た。



