「当然…!そのためにお前を待ってたんだからな」
剣を握り直し、私との距離を一気に詰めたキース。
もう…、また速くなったわね。
私は避けるのを諦め、真正面からその剣を受け止めた。
カンッ、キンッ。
練習用と言っても、それなりにしっかりした作りの剣。それにキースの力が組み合わさると中々の威力だ。
…ッ。この馬鹿力…!
だんだん手が痺れてきて、握力がなくなってくる。打ち合いはあまりにも分が悪い、そう思った私はいったん彼から距離をとった。
昔と違って、もう単純な力やスピードではキースには勝てない。
だからこそ、自分の得意な所を最大限活かす必要があった。
「ほら、近寄らないと俺は倒せねーぞ」
「はいはい。そっちこそ、集中してないと痛い目見るよ?」
若干、煽ってくる所が憎たらしいが、安い挑発は乗る方がバカだ。
さて、どうしようかしら…。
私がキースに勝っている所を挙げるとすれば、身体の柔軟性と剣速。あ、あと頭の良さね。