「シェス…いや、副団長」

「…シェスでいいよ。フロイド、俺もまだ副団長って呼ばれるの慣れないし」

そう言って、肩をすくめたシェスは先月副団長に任命されたばかり。

私とたった1歳しか違わないのに、かなりのスピード出世だ。

まぁ、シェスの剣の腕、統率力を考えると妥当な決定だとは思うけれど。

「ふん。何でシェスだけ副団長なんだよ。俺でも全然アリだろ?」

そんな中、昔からシェスをライバル視していたキースだけは未だに不服みたいで、ブツブツ文句を言っている。

「キースにはあと5年早いかな?」

「そうだね…キースはもう少し周りの状況見れるようになってからかな」

シェスが最もなことを笑顔で言うものだからつい私も同意してしまう。

キースも剣の腕だけだったら十分に資格はあると思うけれど…何分、周りが見えず突っ走る行動がまだまだ多く、とても副団長を任せられるれべるではなかった。

「フロイドまで…どうせ、俺は集団行動が苦手ですよ。…俺、闘技場行ってくる、フロイド話し終わったら来いよ」

私達2人に的確にツッコまれたキースは傷ついたような表情を浮かべつつ、それだけ言い残すと足早に団長室を出て行ってしまう。