――カラン、カラン。

「おぉ、フロイドじゃん。久しぶりだな〜」

「トーマス久しぶり。そうなんだよ。最近、家の仕事が忙しくて…」

「そっか。お前も大変だな。あんまり無理して体壊さないようにしろよ」

たまたま騎士団の詰所にいた、同期のトーマスに声をかけられ、私は咄嗟にそう答える。

私は、騎士団の他に家業に従事しているという設定(ミリアが考えてくれた)なので、わりと自由に空いた時間に勤務するという形をとらせてもらっていた。

まぁ、公爵家の仕事もあるので"家業に従事している"というのは、あながち間違えではないのだが…。

気さくに声をかけてくれたトーマスに手を振り、私は騎士団奥にある団長部屋へと足を運ぶ。

「失礼しまーす…」

「お!フロイドじゃん。久しぶり!最近顔出さねぇから心配してたんだぞ」

私の顔を見るなり、駆け寄ってきてきたのは…4年前私が練習試合で倒したキースだ。

…本当、大きくなったわよね。
私だって女の中では小さくはないけど…。

4年前は私とほとんど同じか…それよりも若干小さかったあのキースも気づけば170センチを優に超え、今では私が見上げないといけないほど。