「やれやれ」と、肩をすくめるミリアだが、私にとっては結構重要なこと。

わかってるわ…。
いくら頑張ったって女の私じゃ力で男に敵わないってことは…。

確かに彼女の言う通り、もう男として騎士団に所属するには無理がある年齢になってきたんだよね。

正直、私も薄々感じてはいた。

体の線も、身長も、筋力だって…どんどん差が出できている。

あの女の子みたいに可愛らしかったキースにも…1年くらい前に身長は抜かれてしまった。そして、その差は広がるばかり。

けど、わざと気づかないように…考えないようにしていた私。

「…わかってるわ。限界が近いってこと…。でも、騎士団の皆のこと私、大好きなの。ミリアといる時みたいに自分の素をさらけ出せるっていうか…」

「フローラ…」

そんな私を心配そうに見つめるミリア。

彼女の心配はもっともだ。

やっぱり、そろそろ潮時かもしれない。

ミリアが帰った後、私はサッと部屋の隅にあるクローゼットに手をかけた。

ここには私が騎士団に行く時に使う、男モノの服がしまってあるのだ。

急いでドレスを脱ぎ捨てた私は、手慣れた手付きで胸に布をを巻いていく。

大きめのシャツを羽織り、最後にズボンに足を通すと、いつものようにこっそり窓から外に出たのだった―。