とある公爵令嬢の華麗なる遊戯〜私、絶対に婚約破棄してみせます〜


「ちょっと待て!そこまでバカにされて黙ってられっか。俺が相手してやるよ」

高らかにそう宣言したのは、キースだった。

「え〜…」

「嫌そうな顔してんじゃねぇ…!失礼なヤツだな!!」 

私が若干、微妙そうに顔をしかめると彼の可愛い顔が怒りで真っ赤に染まる。

「…っ。確かにシェスの方が強いし、技術はある…。でも、俺だってその辺の坊っちゃんに負けるほど落ちぶれてねぇからな」

ジロッと、私を睨みつける姿に私はフッと微笑んだ。

「別に、さっきの試合で君の剣技見せてもらったけど、かなりやるなって思ったし…ナメてかかれる相手じゃないってのは重々承知してるから。じゃ、やろうか」

スッとその場で剣を抜いた私に対して。

「…ちっ。なんなんだよ、お前…。バカにしてんのか、褒めてんのか…。変なヤツ」

キースは、少し面食らったような表情で、剣を構える。

「よし。じゃあ、審判は俺がしよう」

ハロルドはそう言って、私とキースの間に立った。

そして、

「始めっ!」

彼の合図で私達の試合が幕を開けたのだった。