「へぇ…アン嬢がねー…」
赤い髪の青年は小さく呟くと、まるで値踏みするかのように私をジッと見据える。
知らない人にジロジロと見られるのはあまり気分が良いものではない。
品定めでもしてるつもりかしら…?
マナーがなってないわ。
私は表面上は愛想のいい笑顔を浮かべつつも、心の中ではそんな毒を吐いていた。
「まぁ、俺もまだ彼の腕前は見てないんだが…」
チラリと私を見て、考え込むハロルドだったが「そうだ…」と、呟き、何か思いついたようにニヤリと口元に笑みを浮かべる。
「フロイド…せっかくだ。君も試合をしてみないか?俺も君の実力を見たいし…どうだ?」
「試合を…」
「そりゃ良い。俺も見たいな〜。そんな細腕でどのくらいの腕前なのか見ものだ」
「こら、ジャック失礼だろ。すまんな、コイツ少々口が悪くて…」
「…あはは。いえ、気にしてませんから」
赤い髪の…ジャックと呼ばれた青年は、楽しそうな笑みを浮かべつつ、私を煽ってくる。
そんな彼を嗜め、私に謝るハロルドに私は笑顔で首を横に振った。



