「…っあ〜ちくしょう!また負けかよ」
その瞬間、大きくそう叫びながら、キースがゴロンと芝生に倒れ込んだ。
「でもキース、前より腕上げたんじゃない?」
「シェス…それ嫌味か?」
フッと不敵に微笑んだシェスに対して、キースは若干口元が引きつっている。
どうやら、仲はあまり良くなさそうだ。
その時。
「おーい。皆、注目〜」
ハロルドが集まっている団員たちに声をかける。
「あれ、副団長じゃん。帰ったんじゃなかったのか?」
「確かにさっき家に帰るって言ってたのにな」
ハロルドと同年代くらいの団員たちが、彼の姿を見つけ不思議そうに目を見開いていた。
そんな中。
「副団長、どうしたんすか?お早いお帰りで…」
1人赤い髪の青年が駆け寄ってきた。
「つか、隣の子どもは…貴族?はっ…!副団長…あんたまさか、誘拐…って!」
私とハロルドを交互に見つめ、そんなことを言い出す青年にハロルドの鉄拳が飛ぶ。
「んなわけあるか!この子はフロイド。うちの妹を助けてくれた恩人だよ…騎士団にスカウトしてるところだ。アン曰く、かなりの腕前なんだと」



