「わかった、アン。彼を詰所の休憩室に案内してくれるか?」
「はいはい、わかりました。ミリアムこっちよ」
ちょいちょいと手招きするアンの後ろをついて行くミリアは、最後に「じゃ、フロイド。頑張って」と私に声をかけ、詰所内へと姿を消したのだった。
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「わぁ…ここが闘技場」
「そう、ここが我が騎士団が日夜、鍛錬している闘技場だ。腕利きの連中ばかりだからフロイドにとっても良い刺激になると思うぞ」
思わず感嘆の声をもらす私に対して、ハロルドは得意げにそう言い放つ。
くるっと周りを見回すと、あちこちで剣の稽古をしている騎士団員達が目に入ってきた。
その中で一際盛り上がっている場所がある。どうやら、剣の練習試合をしているようで周りで練習していた団員たちも応援に熱が入っていた。
「お、ちょうど試合してるな。見に行くか?」
「はい!」
ハロルドに促され、私は彼の後に続き、試合が行われている場所へと近づく。
――キンッ!カーン…シュッ。
剣が激しくぶつかり合う音や空を切る音、そして。
「おら、キース!もっと腰入れろー!」
「シェスはちょっと手加減してやれよ」
飛び交う野次に私はワクワクと胸を高鳴らせていた。



